rise from dilapidation !!

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    アメコミファン。
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X-MEN SCHISM #1
【2011/08/12 23:59】 アメコミ原書翻訳
SCHISM #1

ユートピアではアイスマンが海岸で爽やかな朝を満喫していました。
するとそこに、戦場から帰ってきた傷だらけのウルヴァリンが姿を現しました。
「うわ。最悪な一夜を過ごした様だね。」
「これが俺の日常だ。」
全身に矢や手裏剣を打ち込まれたままのウルヴァリンはそう言って、
静かにその場を去っていきました。

ユートピアの入り口ではホープとファイブライツ
(セカンドカミング事件後に新たに存在が確認された若きミュータント5人の総称)
が話していました。
「いつまでここで待ってりゃいいんだよ?」
ガブリエルの文句にホープが答えます。
「ウルヴァリンは大切なゲストよ。それを見捨ててどこかに行ける訳ないでしょう?」
そこにフラフラとウルヴァリンが姿を現しました。
「何だ?」
鬱陶しそうに一言聞くウルヴァリンにホープが答えます。
「準備が出来てました。先生。」
「何の?」
「戦闘トレーニングクラスです。」
「ほう。俺がそのトレーニングクラスとやらの教師なのか?」
「スケジュール上はそうなってます、先生。」
「何だ、そのスケジュールって?」
「サイクロップスが私達にくれたスケジュールです。」
しばらくの沈黙の後。
「…そうかい。」
ウルヴァリンは短くそう答えました。
そして彼は目の前にいる初めて目にするファイブライツの一人に声をかけます。
「おい、お前。名前は何て言うんだ?」
「イディです。」
「何歳だ、イディ?」
「14歳です。」
「その歳なら人形で遊ぶとか、戦闘トレーニング以外に興味とかないのかよ?」
「人形は以前、可愛らしいビーズで出来たものを持ってました。
でも私を魔女として焼こうとしてきたので、その時に失いました。
あなたが14歳の時には多くの人形を持っていたのですか?」
まるで本人自身が人形かのように冷静に答えるイディを軽く睨むと、
ウルヴァリンはそのまま去っていきました。
「戦闘トレーニングクラスは解散だ。以上。」
それを聞いてローリーがホープに言いました。
「確かに待ってた甲斐があったね。」

x-men_schism_1_1.jpg"ローガンからの警告!
侵入者は問答無用で刺しまくる!!"
物騒な張り紙が張られたウルヴァリンの部屋のドア。
その中では矢や手裏剣を抜き取ったウルヴァリンが、
やっと眠りに付こうとしていました。
「アヴェンジャーズ、X-FORCE…
どいつもこいつもクソ喰らえだ…
今日から3日ぐらい寝続けてやるからな…」
そう言ってウルヴァリンがベッドに寝っ転がった瞬間、
コンコン
「ローガン?」
彼の部屋のドアをノックする音が。
そしてサイクロップスがドアを開けて中に入ってきました。
「ギャラクタスが攻め込んできたってんなら話は別だが、
そうじゃないなら今すぐドアを閉めて出て行ってくれ、スリム。」
「ユニフォームを着てくれ。君が必要だ。」
「何だ、また大事件か?」
「私が君に時間を割いて貰う時は、
大概が重要な時であると思っていたが?
スイスで開催される国際軍備管理会議に
私がスピーチする事になった。
悪いが飛行機の中で寝てくれ。」
「了解。でもいつもの気さくな俺を期待するなよ。」
「ところで君は今、戦闘トレーニングクラスの指導をしてるんじゃなかったのか?」
「元気になったら絶対お前を殺すからな。」

そして国際会議場に到着するサイク達。
入り口でサイクが警備員の入館チェックを受けます。
「サマーズ・スコットです。」
「どこの国の議員の方ですか?」
「ユートピアです。」
「申し訳ありません。私があまり詳しくないようで…」
「青い毛皮や羽の生えた人々が暮らす場所です。」
「ああ、わかりました。それで警護人数は何人で…」
「一人だけです。」
そう言うサイクの前にウルヴァリンが歩いてきました。
「中は安全だ、スリム。さっさと入るぞ。」
それを見て警備員が驚きます。
「え…どうやって彼は…いつの間に…」
そして様々な国の要人が座る会議場の中を
壇上に向かってサイクは真っ直ぐ進んでいきます。
「全員にX-MENが来たと伝えてくれ。そして意見を聞く用意も出来ていると。」
「自由国家の首脳どもに緊張が走ってるぜ。」
「この光景を見るのに超人の能力は必要ない。」
「もう一回聞くけどよ、何で俺がここにいるんだ?」
「君は私のワンマンセキュリティチームだからな。」
「俺がアヴェンジャーズの一員だからだろ?」
「まあ、それもある。」
「こんな場所で何のスピーチをするってんだ、スリム?
俺達の好感度を上げようってか?
それとも俺達を恐れて嫌ってる奴ら全員に、
他に俺達を嫌う理由でも付け足すのか?」
ウルヴァリンの皮肉にサイクが返します。
「私は外交官なんて役回りよりも、
目からビームを撃ってる方がよっぽど似合ってると思う。
そんな仕事は本当は君に任せたいんだ。
しかし私にはまだ希望が残っている。」
「俺達ぁ長年、世界を変えるために戦ってきた。
しかしいまだに世界は変わってねぇ。
今日は何か違うってのか?」
「私達が変えるべきは世界ではない、ローガン。
人々だ。人は常に変わっていく。」
「そうか?」
ウルヴァリンの脳裏には、かつてサイクと口喧嘩をした時の思い出が蘇ってきました。

「俺は誰の指図も受けねぇぞ!」
「君は何て高圧的な人間なんだ!」

「…何か前にもその台詞を聞いたな。」
そして会議場の中を進む途中でウルヴァリンがある事に気づきました。
星条旗が立つ席には誰も人が座っていません。
「アメリカ人は来てねぇのか?」
「大統領から欠席状が来ていた。
どうやらセンチネルを建造した国家は私のスピーチに興味がないらしい。」
「だから俺がここ数年、本拠地をカナダに移そうって言ってんのによ。」
「何か他に激励の言葉はあるかい?」
「あ~特にねぇよ。」
「…ありがとう、ローガン。」
「何が?」
「ここに来てくれて。」
「お前が来いって言ったんだろ。」
「…いつもいてくれて。」
「俺はその時、一番付いていきたい奴に付いていくだけだ。」
「…今まで君が私に言った言葉の中で、最も嬉しい言葉だよ。」
「俺は殴りあう場所は好きだが、社交辞令を交わす場所は苦手なんだ。
さっさと下らないスピーチを始めろよ。」
横を向きながらそう言うウルヴァリンを嬉しそうに見つめながら、
やがて壇上に立ったサイクがスピーチを始めました。

x-men_schism_1_2.jpg「紳士淑女の皆様。
ミュータントという種族の発展は
アメリカのボリバー・トラスクという
軍事科学者にとっては恐怖の対象でしかなく、
その結果、彼に全てのミュータントを
殺害するためだけのロボット兵器の
製造に踏み出させました。
この愚かな行為は国際的な軍事競争の火種となり、
今日においてもいまだにその競争は
終わりを見せていません。
ミュータントの世界のあらゆる場所への
進出はトラスク氏に更なる恐怖を与え、
彼の兵器の誕生の原因となりました。
公的に認めるか否かは別にして、
これは紛れもない事実であると我達は知っています。
本日ここにいらした皆様も、かつてもしくは現在も
何らかの種類のセンチネルを
保持している事と私は認識しています。
さらに最近になってミュータントの数は
200にも満たない数にまで減少しました。
私は時々ミュータントの総数は
いまやセンチネルの総数よりも
少ないのではないかと思う時があります。
しかし私は本日ここに、センチネルによって何百万者ものミュータントの命が
犠牲になった事を非難する為に来たのではありません。
昨日の過ちを蒸し返すために来たのではない。明日の可能性を話すために来たのです。
私の心配は未来に関することです。私達のために一つの意見を提案したい。
この後に世界中の国家に対してセンチネルの廃棄を記した正式な議定書を提出します。
ミュータントを虐殺する機械の完全な廃絶を提言させて頂きたいのです。」

会議場の外でサイクの演説をテレビ中継で見ながら、警備員達が休憩していました。
「クソミューティーなんざ、残った奴全部集めてどこかの島にでも隔離しちまえばいいんだよ。」
「それって確かもうやってるぜ。」
そこに全身をコートに包んだ不審者が現れました。
「おい、お前。どこに行くんだ。ここはお前の様な奴が来ていい様な…」
しかし彼は警備員の前に立つとこう言いました。
「でも俺はいいんだよ。」
「う…」
黙って不審者を通した警備員に、もう片方の警備員が慌てて聞きました。
「ボビー、どうしたんだ?お前一体…」
「ぐうううああああっ!!!」
突然凶暴になった警備員が相棒に殴りかかります。
その光景を背にしながら不審者は会議場へと向かっていきました。

「私はこの議定書にセンチネルの廃絶のために
X-MENが全面的に協力することを盛り込み、そして…」
「ミスター・サマーズ。」
演説を続けるサイクに向かって、傍聴していた黒人の男性が手を上げました。
「すまないが、少し言わせてほしい。
君は何の証拠もなく我々を非難するためだけにここに来た様に見える。
現に私の国には、君の言うセンチネルとやらは存在すらしていない。」
「申し訳ありませんが、私が16歳の時から殺されかけてきた
機械の存在について、ここで議論する気はありません。」
「もし君が議論をする気がないというのなら君はただ単にここで我々を脅し、
未来について脅迫的な意見の押し付けをしているだけではないのか。
もしかしたらだがミスター・サマーズ。
君のその傲慢な態度が、数年にも渡るその非道な巨大ロボットとの軋轢の
原因になっているのではないのか?」
「申し訳ありません。ご指摘がある場合は喜んで聞きますので、
どうかまずは私の話を…」
サイクと男性が問答をしていると、
x-men_schism_1_3.jpg「ちょっとよろしいですか。」
会議場の入り口で声がしました。
皆が視線を向けるとそこにいたのは先程の不審者です。
そしてその男は声高らかにこう宣言しました。
「全ての人類とその支持者の皆様!
皆様はミュータントの革命の夜明けの目撃者となるのです!
このキッド・オメガによって!!」
それはかつてX-MENの学園の
生徒であったキッド・オメガでした。
「私の名前はクエンティン・クアイアー。
ミュータントの自由なる戦士であり、将来X-MENを率いる男です。
しかし本日は人類を滅ぼすために訪れたのではありません。
ただ彼らに自分達は既に死んだも
同然だと知って頂きに参ったのです!!」
サイクが壇上から飛び降り、ウルヴァリンを呼びます。
「ローガン…ッ」
「もう動いてるぜ!おい、道を開けろ!!」
ウルヴァリンが叫びながら入り口に向かって走っていきます。
「まるで糞にまみれた豚の様に、
虚言に彩られたあなた方政治家に、
最上の選択肢を差し上げる。私はそれ以上は望みません!
今回の革命は目には見えません。テレパシーで行います。
紳士淑女の皆様、正直に言わせていただきます。
これから行うことは痛みを伴うでしょう。しかし真実とは常に痛みを伴うのです。」
そう言うとキッド・オメガは精神感応波を出席者達に向けて放射しました。
一瞬の沈黙に包まれる会議室。
衝撃で倒されたウルヴァリンに手を伸ばし、サイクが起こします。
「大丈夫か?」
「サイキック防御を張ってたからな。」
「私もだ。ただ…」
サイクが会議場内を見渡します。
「ターゲットは我々ではなかったようだ。」
サイクがそう言う前で、先程サイクに問いかけていた男性が口を開きました。
「この衝撃的な事件によって…私は…言わなければならない。
皆さん、聞いて欲しい。私は自分の子供達に暴力を振るってきた。しかも頻繁に。
何故なら…何故ならそれが楽しかったからだ。」
別の男性が立ち上がり、話し始めます。
「もし邪魔でなければ言わせて欲しい。
私は妻が白血病で死んでからというもの、35年にも渡って不倫をしている。
それを証明するために、私と不倫相手の性行為を撮った映像を各報道機関に送信した。」
別の女性が立ち上がります。
「私が大っ嫌いな少数民族のリストを作る絶好のチャンスだわ!!」
「俺は違法麻薬の取引でこの地位に上り詰めたんだ。」
「あいつが死んだのは私のせいなんだ…」
次々に心の中にある闇の部分を自ら暴露していく各国のエリート達。
「あいつは世界のリーダー達に、テレパシーで強制的に心の深遠にある秘密を
暴露するように仕向けたんだ。あいつを殺すべきか、勲章でもあげるべきか迷うところだな。」
サイクが皮肉を言う中、次々と各国の代表者のスキャンダルが中継されていきます。
「私の財産は貧乏人どもから奪ったものだ!」
「私は票を改竄して当選した!」
「家にドゥームボットを隠し持ってる!」
「知らない奴を撃ち殺した!」
「神なんか信じていないぞ!」
ウルヴァリンがサイクの皮肉に答えました。
「いつだって、どっちも狙ってきただろ?」
会場内の混乱を映し続けるテレビカメラに向かって、警備員が手をかけました。
「やめろ!中継をやめるんだ!!」

「ええ、フロストよ。3時からペディキュアを塗りたかったんだけど。
何で私が世界規模で醜態を晒してる馬鹿の事を気にかけなきゃならないの?」
エマに通信を取りますが、彼女は相手にすらしません。
「クアイアーの野郎はどこかに行っちまった様だな。
しかしあいつの匂いは強烈だ。2秒でどこに行ったか分かるぜ。」
「まだ行かない方がいいだろう。」
「でもよ。俺達にも矛先が向かってきたぜ。」
「何が起きても対処できるようにしていてくれ。」
サイク達は喧騒に包まれた会議場を出口に向かって進みます。
「私の話を聞いてください。今回の事件とX-MENは関係ありません。
しかし私達は必ず犯人を捕まえ、正義の前に突き出します。
どうか私達の邪魔をしない様、お願い致します。
これ以上、この場を混乱させるのは得策ではありません。」

しかし会議場の外では、警備員の一人が通信機である指示を出していました。
「全機、配置に付け。緊急プロトコル X 始動。暗号名:[トランクを開けろ]。」
その言葉を受けて、会議場の外に止まっていたトラックの荷台が開き始めました。
《指令確認.[トランクヲ開ケロ]..
容疑者ノ特長ハ以下ノ条件.男.ミュータント.
条件ニ該当スル者ハ全テ鎮圧スル.》

外に出る正面ドアの前まで来たサイクとウルヴァリン。
ドガアアアッ!!!
しかしそのドアがいきなり破壊されました。
「冗談だろ。」
そこにいたのは多数のセンチネル。
「武装しているな。力で言論をねじ伏せる気だ。」
「そうかい。ならこっちも同じ手段で行きゃいいだけの話じゃねえか。」
そしてX-MENの精鋭二人の手によって、一瞬にしてセンチネル部隊は倒されました。
x-men_schism_1_4.jpg

するとテレビ画面にキッド・オメガの姿が映ります。
「全世界のミュータント達よ!
俺の名前はクエンティン・クアイアー。
我ら全ての名において、今日の活躍は俺の手柄だ。
今日、世界は自分達のリーダーがその本性を剥き出しにする様を見た。
嘘にまみれた汚らわしい人間の本質だ。
今日、愛すべき16歳のミュータント愛国者が、偉大なる世界の傀儡子となったのだ。
友よ、そこで奴らの活躍を見ているがいい。
奴らの愚行、失態、憤怒を見ているがいい。
そして奴らが我らによって今日公に晒された傷を必死になって隠す様を見ているがいい。
奴らの怒りを。奴らの欲を。俺の血で、俺たちの血で!!
我がミュータントの兄弟達よ。画面はそのままだ。
もしもまだ人間共が俺達に恐怖と憎悪の視線を向けていることを
疑ってるお人よしがいたら今こそ考え直すチャンスだぜ。いい加減目を覚ませよ。
じゃあ、次に何が起こるか、乞うご期待。」
そして映像は切れました。
「今すぐあの野郎を追いかけて、夜までにボコボコにして泣かせてやる。」
しかしそう言って走り出したウルヴァリンをサイクが止めました。
「やめろ。クアイアーの事は忘れるんだ。あいつは相手をする価値もない。
今は受けた被害の方が問題だ。全員をユートピアに帰還させる必要がある。」
「本当はあいつの言ってた次って奴を見たいんだろ?」
「お前はどうなんだ?」

場所は変わり、ある巨大工業会社の正門。
「キルゴアさん!」
「キルゴアさん!」
報道カメラに囲まれながら、その会社の社長が車に乗り込もうとしていました。
「カールトン・キルゴアさん、世界で最も優れた兵器製造企業として
本日起きた事件をどう思われますか?」
キルゴアと呼ばれた男は後部座席のドアを開けながら答えます。
「私は卑劣なテロリストの攻撃に憤りを感じている。
願うことならば世界で一丸となって今日受けた傷を共に癒していきたい。
その時までキルゴアブランドの武器を半額にすることを宣言しましょう。」
そして車は飛行形態になって記者達の前から飛び去っていきました。
「わが社のウェブサイトには、現在毎分で1000以上の注文が入り、
3箇所の工場で生産が間に合わない状態だ。これも私が召集した軍備管理会議のおかげだ。
理不尽な恐怖の力がX-MENを永久に存続させるのだろう。」
そう言って彼は車内に用意してあったグラスを手に取りましたが、
そこには氷しか入っていませんでした。
「それなら僕が飲んだよ。」
突如した声に驚いて彼が前を向くとそこに座っていたのは…
「ケイド?一体ここで何をしているんだ?学校はどうした?」
そこにいたのは、まだ幼い彼の息子でした。
「僕なら今学校にいるよ、父さん。ただし僕の影武者だけどね。
もう彼に任せて3ヶ月経つよ。僕の成績がA-になった事にすら気づかなかったようだね。
あなたはどうやら、あまり面倒見のいい父親ではなかったみたいだ。」
そう言って彼は手にした銃口を父に向けました。
「ベッスィー。息子が私に銃を向けたぞ。息子の首根っこを捕まえてくれると嬉しいんだがね。」
しかし運転席で車を運転する女性は一言、こう言いました。
「残念ながらそれは出来ません。キルゴアさん。」
「何?」
銃を向けたまま息子が話しかけます。
「ベッスィーは今や僕の味方って事さ。
陰で悪口を言ったり彼女の胸ばかり見てたことに、あまり好感を持てて貰えなかったみたいだね。
僕はそういったことはしないから。」
「それはお前がまだ思春期すら迎えていないからだ。息子よ、お前はまだ12歳なんだぞ!」
「その通り。僕はこの日を10歳の頃から待ち続けていた。
でもさっきの役員会議でついに僕がニュー・キルゴア社のC.E.Oに選ばれてね。
ちなみにほんの30分前の話だよ。」
「まさか私に楯突くとはな。母さんが見てなくてよかった。お前は…」
その瞬間、
「うわ…うああああああ~っ」
後部座席のドアが開き、はるか上空を飛行する車からキルゴアが振り落とされました。
そして落ちていく彼に向かって
ダンダンダンッ!!
何発もの銃弾が浴びせられます。
一人後部座席に残った少年は銃を手にしたまま呟きました。
「僕は空で父を撃ち殺した。彼が築き、一生を捧げて来た会社を乗っ取った上で。
まだ恥や後悔の感情すら湧いて来ないけど。
ねえ、ベッスィー。教えてよ。これが男になるって事なのかな?」
少年の質問に前を向いたままでベッスィーが答えます。
「私の答えで満足してくれるのなら、それでいいと思います。
それでどこに向かいますか、キルゴアさん?」
少年は疲労とも恍惚とも分からない表情をしたまま、彼女に答えました。
「クラブハウスに。他の皆が待ってるんだ。でも遠回りで行ってくれ。
出来る限り世界を見て回りたいんだ。
僕が引き継いだものがどれだけ素晴らしいか見ておきたいんだよ。」

そして時間が流れ夕暮れに差し掛かった頃、ユートピアでは。
「なんて傲慢なクソガキなのかしら!」
サイク、エマ、マグニートー、ネイモアの4人がリビングで話していました。
「もし私がクエンティン・クアイアーを捕まえたら、
脳みそを溶かして鼻水のように鼻から垂れ流させてやるわ!」
エマの恐ろしい言葉を無視してサイクが話します。
「どうやって彼は自由になったんだ?私が彼について知ってるのは
研究所の封印ユニットに封じ込めたのが最後なんだが。」
マグニートーが続けます。
「もはやクアイアーは問題ではない。
今回の事件に対して世界がどう反応するのかを見定めなければ。
そして自分達を守るために何事にも備える必要がある。」
最後にネイモアが念を押します。
「アトランティスはあのピンク髪の若造のせいで
戦争になっても参加はしないからな。」
彼らのやり取りを部屋の隅で見ていたウルヴァリンでしたが、
何も言わずにその場を後にします。
そして下の階に来た彼に、キティが近づいて来て手に持っていた荷物を渡しました。
「お前が買ったのか?」
「久しぶりだったけど、一番いいと思うものを買ってきたわ。」
「ありがとよ、キティ。」
そう言うとウルヴァリンは荷物を持って歩いていきました。
「あなた、本当に自分が何をしてるのか分かってるの?」
「俺はお前が10代の時に生き残らせてやったんだぞ。忘れたのか?」
「そうね。でもあなたは私がまだブラジャーを着けるよりも先に、
武器の使い方を教えてきたじゃない。今度の不幸な少女は誰が担当するの?」
キティの嫌味を受けながら、ウルヴァリンが向かった先には、
「イディ?」
今朝、ウルヴァリンがその名を知ったばかりの少女が一人で座っていました。
「お前にプレゼントだ。」
そう言ってウルヴァリンは手にした荷物を渡しました。
彼女がその箱を開けると、中には可愛い人形が入っています。
「意味が分かりません…これが…私の戦闘訓練なんですか?」
「違う。それは人形だ。知ってるだろ?それで遊ぶんだ。」
「ああ…そうか。ありがとうございます。」
そう言って嬉しそうに人形を前に置き、食べかけのアイスを口に運ぶイディ。
「何をしてるんだ?」
「アイスを食べてます。あなたが最後に食べたのはいつなんですか?
アイスが分からないなんて信じられない。食べだしたら止まらないのに。」
「…そうだな、お前のをもらっていいか?」
「私と一緒にアイスを食べてくれるんですか、ウルヴァリン?」
「ああ、そうさ。」
そして夕暮れの食堂で、静かに二人はアイスを食べ続けました。

『緊急速報です。北朝鮮の撮影に成功しました。黄海の上空で何かが確認できます…』
リビングのテレビから流れるニュースをサイクたちが見ていると、
そこにホープがやって来ました。
「何か起きたの?」
「何でもないわ。ホープ、自分の部屋に戻りなさい。」
その質問にエマが答えますが、サイクが言いました。
「いや、こっちに来ていい。君はこれを見るべきだ。」
サイクがそう言う中、テレビの映像はニュースを流し続けます。
『これは北朝鮮の現在の映像です。政府の軍事作戦が展開されたようです。
今回の作戦に関しては事前に一切の連絡がなく…』
その映像に映っている"ある物"を見てホープがサイクに聞きます。
「あれって私が考えているものかしら?」
「そうだ。」
「そう…あなたのスピーチは特に効果がなかったって事ね。」
そう言ってホープはサイクの方を向き、話し続けます。
「私達の数がいくら減ろうが、私達への恐怖はなくならないのね。」
その言葉にサイクが答えます。
「むしろ今まで以上に恐怖を感じているんだ。
昔は確かに数は多かったが、今みたいに一箇所に集まってはいなかったからね。」
「それが問題なの?どうせミュータントはいずれ滅ぶんでしょう?」
「まだ滅んでいない。その時は私が最初に殺されよう。」
「じゃあ、今回はどうやって解決するの?」
「私達と一緒にここで静かにしていればいいさ。…たとえ何が起ころうともね。」

そこにイディを連れたウルヴァリンがやって来ました。
「何が起ころうとね…か。かなり大きな"何"かが起きちゃってる気もするけど。
そう言うホープに、来たばかりのイディがテレビ画面を見ながら聞きました。
「あれ何?」
ウルヴァリンが答えます。
「大好きなアイスでも持って戻りな、イディ。」
しかしサイクは言います。
「もしいたいなら、ここにいればいい。」
「スコット…」
サイクの言葉にウルヴァリンが反応しますがサイクは続けました。
「憎悪と恐怖。人々が忘れかけた頃に、我々は幾度となく問いかけてきた。
そしてその度にその本質は空洞化した。今こそ、その真の意味を考える時が来たんだ。
その意味を。」
x-men_schism_1_5.jpgサイクがそう言いながら見つめる
テレビの先では何体ものセンチネルが
夜の海を飛行していきました。
「この光景こそ全世界が我らを憎み、
恐怖に怯えている事を意味している。」
テレビが中継を続けます。
『専門家の話では、これはソビエト製の
初期型I号機とII号機のデザインに
似ているそうです。
北朝鮮はかつて、この技術を
所有していることを否定しました。
今、我々はこの黄海上の
軍事行動をただ見守ることしか出来ません。
しかし恐らく…いえ、皆さんもあの兵器が
海に向かってエナジーブラストを
放ったのが見えたことでしょう。
かなりの力を有していると思われます。
繰り返しますが、今回の行動に対する
北朝鮮政府からの公式声明は出されておりません。
しかし本日の軍備管理会議での事件を考えますと、これは…』
そこにさらに緊急中継が入ります。
『マーガレット、よろしいですか。
こちら北京ですが、こちらにも今話していた…』
そこに映し出された北京の映像には
同じ様に大量のセンチネルが映し出されていました。
そしてそれはカイロ、モスクワ、パリ…
世界中で連鎖するかの様に広がっていきます。
『政府筋の関係者の話では、パキスタンの国境において
遺伝子感知型地雷が設置されたとの事です。
また全てのミュータントに対するビザ発行の取り消しについて、
現在ヨーロッパでは論争となっています。
また未確認情報ですが、東京湾では巨大な剣を持ったロボットが
姿を現したという情報も入っています。』
ニュースを見ていたサイクがエマに指示を出しました。
「エマ、セレブラを使ってX遺伝子を持つ者を確認してくれ。
見つけ次第、現在ミュータントという種族が世界的に危険な状態にあると伝えるんだ。」
ストームが言いました。
「過敏になりすぎると、かえって状況が悪化する場合もあるわ、スコット。
これは強行的な軍事演習ではあるけれど、まだ武力侵攻ではないじゃない。」
サイクが言い返します。
「では君の言う侵攻とは何なんだ、オロロ?世界は我らの鼻先に銃口を向けているんだぞ。」
「…私達に何をしろというの?」
その質問にサイクがバイザーを触りながら答えました。
「まずは…現実から目を背けるな。」

『…民族国家の首脳がセンチネルの掌の上に乗り、声明を発表しました。
"遺伝子の異教徒"が不幸にも与えた影響を激しく非難する、というこの声明は…』
謎のフードに身を包んだ集団が、明かりもついていない不気味な暗室で、
X-MENが見ていたニュースと同じ放送を見ていました。
「実にいい光景だ。我々はついに動き出した。」
その中の一人がそう言うと、後ろから誰かが話しかけてきました。
「だから僕が言っただろ?」
その声の主は…先程父親を殺したケイドでした。
「ケイド・キルゴアの言う事は常に正しいのさ。」
ケイドに対し、別のフードの人物が問いかけます。
「クエンティン・クアイアーとは何者なのだ?」
「本当に無知なんだな。
耐精神ヘルメットに光学迷彩。
そして僕の貴重な時間を5分割けば、
あいつをユートピアから解放するなんて訳ないよ。
でも彼はただ突然自分の戒めが解けて、
x-men_schism_1_6.jpg物質世界に戻れたぐらいの認識しか
ないだろうけどね。
彼は今頃、目の前にいた奴らを玩具に出来た事か、
もしくは軍備会議を中断したという行為に
舞い上がってるだろうね。
まあ、どちらにせよ我々の狙い通りだ。」
「素晴らしい。」
「そうかい?」
「では第二段階に移行していいかな?」
「僕の認識と同じなら、問題ないよ。」
そう言ってケイドはフードの一団が
腰掛けている長机の一番向こうに座りました。
「我が敬愛なる少年よ。
もし投票が満場一致でなければ、
あのドアを開けた瞬間に
君は殺されていただろう。
しかし君の席はそこにある。
ヘルファイアクラブへようこそ!
ミスター・キルゴア。
新たなるブラック・キングを我々は歓迎する!!」


X-MEN・ユートピア編の最終章と噂されている本作品。
このシリーズを以ってサイクとウルヴァリンが壮絶な内輪揉めをした挙句、
タイトルの通りサイク派とウルヴァリン派にSchism(分裂)するそうです。
教授もマグニートーもサイクもネイモアまでもが一致団結して戦うユートピア編は
サイクの異様なまでの活躍も含めて好きだったのですが、
いつまでも同じことをやっていてもマンネリ化するので仕方ありません。
サイクが死なない限りは応援していきます。

さて、ではレビューでも。
まず今回最も強く感じたのが「字が多い…」でした。
演説やらニュース中継やら凄まじい台詞の多さに、久しぶりの翻訳だった事もあって大苦戦。
いきなり愚痴ですいません。

さて、本題に入ってキッド・オメガことクエンティン君なんですが、
私の記憶が確かならば彼の初出は第一期NEW X-MEN誌(現在のX-MEN LEGACY誌)で、
サイク達が教師になり学園としてスタートしたX-MENの第一期の生徒だった筈です。
NEW X-MEN誌が現在手元にないので、詳細は思い出せないのですが、
確か学園内で不良グループを集めてクーデターみたいなことを起こして
最終的に封印されたような気がします。
さらにその後、ジーンがサイクと完全に決別するという「X-MEN PHOENIX END SONG」誌で再登場。
ある事が理由で死んでしまったカッコウズの一人、ソフィの遺体を手にして、
自分が愛していた彼女をフェニックスの力で生き返らせてもらおうと動き回るのですが、
結局最後に生き返らせることもかなわず失意の中、ビーストによって最封印。
で、今回また再々登場となったようですね。

サイクがせっかく晴れ舞台で一生懸命平和のスピーチしてたのに、彼のせいで流れは真逆の方向へ。
今まで最も酷い位の世界的な反ミュータント運動の引き金になってしまいました。

しかしサイクがやけに冷静なのが不思議なんですよね。
クエンティンも追わないし、ユートピアに篭って「どうせ人間は私達を嫌ってるんだ!」
ってこの思想、よく考えたら悪玉時代のマグニートーさんと同じなんですけど…

そして冷静なサイクに対し、逆に妙な人間味臭さを見せているウルヴァリン。
戦闘しか知らないという少女に人形をあげて、一緒に好物を食べてあげる。
1コマだけ、言葉もなく二人でアイスを食べてるだけのシーンがあるんですが、
ウルヴァリンの背中が格好いいんですよね。
こうやってウルヴァリンが人望を集めていって、
逆にサイクへの不信感が募って行く流れとかだったら
何か微妙な感じですけど、どうなんでしょうかね。

最初のシーンでウルヴァリンがアベンジャーズとX-MENの掛け持ちに
愚痴を言っているシーンは笑えました。
内輪ネタでよく言われてましたが、本人がここまで態度に出したのって初めてじゃないでしょうか。

そして恐らく今回の敵であるケイド。
突然ブラック・キングになってしまいましたが彼って今回が初登場ですよね。
初登場なのにX-MENの長年の宿敵であるヘルファイアクラブのリーダーになるとは。
簡単にユートピアに侵入してるし。これからどういった活躍をするのか楽しみです。

最後に、今回はちょっとした名シーンがありました。
もうおわかりですよね。
サイクがウルヴァリンに、長年共にいてくれた事への感謝を素直に述べ、
それに対しウルヴァリンが照れながらサイクへの信頼を語ったシーン。
このやりとりが、今後に続くSchismへの伏線であることは間違いないのですが、
それ故に美しく、そして悲しい会話だったと思います。
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この記事に対するコメント
Schism篇を完全に買い損ねた団長です。
こうなったらriseさんのレビューが頼り
……って、前もなんかでこういうことあったような(笑)。

まさかのクエンティン・クアイアー再登場といい、
最年少(?)ブラック・キングの誕生といい、
なかなか楽しみな出だしですね。
【2011/08/13 05:58】 URL | 団長あまね #Y2n9T2rA [編集]
 
東京湾を守る剣を持ったロボット!
たぶん詳細に描かれる事なんて無いのでしょうけど、この短い一文だけで心躍ります。
忘れた頃に再利用するマーヴルコミックスのこと、いつかこのロボットが出てくれるかもしれません。
……ひょっとしたら、以前に登場した事があるロボットなのかも?
「お台場のガンダムは実働可能な兵器だったのだ」なんて展開なら嬉しすぎます。
【2011/08/13 07:13】 URL | 名無し #NYrh2GMg [編集]
 
>団長あまね様
買い損ねても大丈夫。
最近のアメコミはリーフ⇒HC⇒TPBの順に再録されまくるので
少なくとも今年の冬にはアマゾンで買えますから(笑)。
クエンティンはそんなに凄いキャラでもないのに
忘れた頃に突然現れるんですよね。Marvel社ではどういう扱いなんだろう?

>名無し様
実は私も読んだ瞬間、「我は悪を断つ剣なり!! 」って叫んでる人が頭に浮かびました。
Marvel世界にはガンダムやらエヴァやらを明らかにパクったロボットもいるので期待してしまいますね。
【2011/08/13 11:47】 URL | rise #r1y2oiqA [編集]
 
TPBが出るまで読むまい、読むまいと思っていたのに読んでしまった・・・
どうもミュータント版シビルウォーだとかって触れ込みらしいですが
これからどう転がるか楽しみです
仲間割れの前振りだとは分かっていてもサイクとウルが
言葉に出して絆を確認するのはホロリと来るものが
【2011/08/14 02:41】 URL | とおりすがり #- [編集]
 
>とおりすがり様
おっしゃる通りのミュータント版シビルウォーなんですが、
他のヒーローが暗黒期を越えてヒロイックエイジに突入したのに
何でX-MENだけ今頃仲間割れなの?
っていうのが正直な感想なんですよね。
本音を言うと、あまり好きな展開ではないです。
【2011/08/14 17:19】 URL | rise #r1y2oiqA [編集]

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